☆「介護の3原則」について☆
2022/12/15
◇「介護の3原則」について◇ 世界各国の中でも福祉先進国として有名なデンマークは、 高齢者の幸福度が世界一とも言われるほど福祉に手厚い国です。 消費税や所得税など税収が高い分、医療費のほとんどが無料であったり、 介護福祉サービスも十分に利用できる体制になっています。 そんなデンマークで生まれた考え方で、 「介護の3原則」というものをご存じでしょうか? これは1982年、デンマークの高齢者問題委員会の委員長を務めた ベント・ロル・アナセン氏が提唱したもので、別名「高齢者福祉の3原則」 または「アナセンの3原則」とも呼ばれるものです。 では、その3原則ではどんなことが言われているのか、 今回はその内容について見ていきます。 介護の3原則とは・・・ ①生活の継続性 高齢者が要介護状態になっても、その人がこれまで大切にしてきた生活スタイルを 今後も継続できるように支援すること。 ここでは施設介護よりも在宅介護の方が望ましいとされており、 高齢者がなるべく住み慣れた在宅で生活を継続できることが安堵感もあり良いとされる。 でも、たとえ施設介護であってもこれまでの生活環境・生活リズムに配慮することが必要であり、 デンマークでは介護施設の自室に使い慣れた家具などを持ち込めるようになっている。 ※単に介護者の都合や便利さで、高齢者の生活スタイルを変えてしまうのは 相手にとってストレスにもなるためNGと言われている。 ②自己決定の原則 要介護状態になっても、その後の暮らしは高齢者自身が決めるべきという考え方。 デンマークでは、高齢者の決めたことに対して 周囲の家族だけでなく社会全体でしっかりサポートしている。 決して他者の都合で高齢者の生活を支配してはならず、 また高齢者が周りに配慮して本心を我慢してしまうのも良くなく、 介護者はそれを引き出すことも求められる。 ③残存能力の活用 自立支援という考え方もあるように、高齢者の「できない」ことにのみ目を向けて 介護するのではなく、「できる」ことに着目、評価して自身の能力を活かしてもらうこと。 介助は極力最低限にし、福祉用具も活用しながら高齢者が主体的に行動する中で 生活に生きがいを見出していただくことが大切である。 介護者がやった方が早いことであっても、なるべく「見守る介護」を意識し、 相手の能力を奪わないことがADL・QOLの維持や向上にもつながる。 ※何かをやってあげるという行為は、相手の能力低下を招いてしまうためNG 高齢者福祉の理念は非常に奥深いものですが、日本では現状ここまで福祉が手厚くなく、 高齢者が経済面、環境面などでどうしても我慢を強いられてしまい、 その家族の都合にも縛られてしまうことがあると思っています。 要介護認定を受けても必要な介護サービスを受けられず、 施設への入居待ちや費用の問題なども起こっているのが現実。 また、介護士人口の不足によりあまり時間をかけながら高齢者の介護をできず、 つい介護者側の都合になってしまったり・・・ でも、高齢者介護の根底にあるべき考え方は、高齢者の本心に 寄り添って、その人が心から望むような生活を支援することです。 その中でも介護者は、日常的に高齢者と関わる中で、 相手の細かな変化や想いに気付きやすい立場だと思います。 日々の業務の中でそれをしっかり汲み取って対応するのは難しいと思いますが、 出来るだけ相手に寄り添えるのが理想ですね♪